心といふもの

「心というものはあなたにもよく理解できないものなの?」

「ある場合にはね」と僕は言った。「ずっとあとにならなければそれを理解することができないという場合だってあるし、そのときにはもう既に遅すぎるという場合だってある。多くの場合、我々は自分の心を見定めることができないまま行動を選びとっていかなくちゃならなくて、それがみんなを迷わせるんだ」

引用元:「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」村上春樹

場面は心を持たない住人がいる世界。その世界に新たにやってきた「僕」はまだ心を捨てきれずにいます。そんな中で交わされた会話です。

私たちはいろいろなことに悩んだり、落ち込んだり、後悔したりしながら、日々を過ごしています。

それは、そもそも、私たちに「心」があるからなんだな、と思うのです。

直面する悩み事はそれぞれ難しいかもしれませんが、何かに悩んだり、迷ったり、決めかねたりしている時、それは心がダイナミックに動き、真剣に立ち向かっている証拠なのです。

悩み事も、迷い事も、後悔する事も、たくさんあっていいじゃない。

しっかり人生を生きているあかしです。

心があるから悩むんです。