コーヒーで読む五行の世界(全5回)|第3回:浅煎り・中煎り・深煎り ― 好みでわかる五行タイプ

「どうしてコーヒーは、こんなにも人を惹きつけるんだろう」とよく考えます。
豆を挽く音、立ち上る香り、一口目の余韻 —— どれを取っても日常の小さな儀式のようで、気持ちが整う瞬間があります。

コーヒーを、私の占いのテーマである「五行」でとらえてみたらどうなるのか。
その問いが、このシリーズの出発点です。


コーヒーを選ぶとき、「今日は浅煎りの気分」「やっぱり深煎りが落ち着く」そんなふうに、自然と選んでしまう焙煎があります。

味の好みは、単なる嗜好の問題のようでいて、実はその人の「心の状態」や「内側のバランス」を、静かに映し出していることがあります。

焙煎の度合いによって、香りの立ち方や、酸味・苦味の輪郭は大きく変わります。
それはまるで、同じ素材でも火の入れ方ひとつで性質が変わる、五行の世界そのものです。

今回は、浅煎り・中煎り・深煎りという焙煎の違いを、五行の視点から眺めてみます。
そこから見えてくるのは、「どんな人か」ではなく、「今、どんな気をまとっているのか」という、ささやかなヒントです。


なぜ、焙煎の好みに五行が表れるのか

コーヒー豆は、生の状態から焙煎されることで、まったく別の表情を見せます。
火を入れる時間や強さによって、酸味が際立ったり、苦味が深まったり、香りが変化したりします。

この「火による変化」は、五行でいうところの「巡り」そのもの。
どの段階で心地よさを感じるかは、その人の内側の気の状態と自然に響き合います。

つまり、焙煎の好みは、性格というより「今の五行バランス」を映す鏡のようなもの。
だからこそ、時期によって好みが変わることも、決して不思議ではありません。


浅煎りを好む人・時に表れやすい五行(木性・火性)

浅煎りのコーヒーは、軽やかな酸味と、立ち上がるフルーティな香りが印象的です。
口に含んだ瞬間に広がる明るさや、少し先へ進みたくなるような感覚があります。

五行で見ると、酸味は「木性」の味の特徴とされています。
伸びる、広がる、外へ向かう——
浅煎りの酸味がもたらす印象は、まさに木性の動きそのものです。

浅煎りを好む人には、おしゃれでトレンドを意識し、少し先の感覚に触れていたい気持ちが強い時期が重なりやすいように感じます。
新しいものを試したい、変化の中に身を置きたい——
そんな上昇志向が、味の選択にも表れているのかもしれません。

この感覚は、木性に加えて「火性」の性質とも重なります。
軽やかさ、明るさ、前へ前へと進むエネルギー。
浅煎りのコーヒーは、そうした五行の流れを自然に引き出してくれる存在です。


深煎りを好む人・時に表れやすい五行(土性・水性)

深煎りのコーヒーは、しっかりとした苦味とコク、そして落ち着いた余韻が特徴です。
派手さはないけれど、飲むほどに安心感が広がり、心が静まっていく感覚があります。

深煎りを好む人は、冒険よりも安定を選びたい時期にいることが多いように感じます。
流行に左右されるよりも、「これが好き」「これが落ち着く」という感覚を大切にする。
その姿勢は、とても内向きで誠実です。

五行で見ると、この感覚は「土性」や「水性」と重なります。
土性は、受け止め、蓄え、中心をつくる力。
水性は、静けさ、深さ、内側へと向かうエネルギー。

深煎りの重みは、外へ広がるよりも、自分の内側を整えたいときに、そっと寄り添ってくれる味わいです。


中煎り・中間を選ぶときの心(土性)

中煎り、中浅煎り、中深煎り。
コーヒーには、はっきりと決めきらない「中間」の領域があります。

この焙煎を選ぶとき、心の中には、いくつかの気持ちが同時に存在していることが多いように思います。

進みたい気持ちと、落ち着きたい気持ち。
変わりたい自分と、今を守りたい自分。
何かに決めきれない、どちらにも振り切れない時。

五行でいうと、こうした調整の感覚は「土性」。
極端に振れたものを受け止め、真ん中に戻す働きです。

中煎りのコーヒーは、酸味と苦味のバランスが取れ、安心感がありながらも重すぎない。
それは、心が自分自身の中心を取り戻そうとしているサインとも言えるでしょう。


もうひとつの視点:金性が強く表れるコーヒー

焙煎とは別に、五行の「金性」が強く表れる場面もあります。
それが、高級豆や希少豆に惹かれる感覚です。

産地や精製方法に価値を見出し、限られた量しか手に入らない豆を選び取る。
その「選別する力」「違いを見極める感覚」は、金性の特徴そのものです。

こうしたコーヒーに惹かれるとき、人は自分の基準を内側で研ぎ澄ませています。
金性の強まりは、成熟や洗練の段階に入っているサインとも言えるでしょう。


日常の中で見えてくる、コーヒーと五行の関係

いつも同じコーヒーを飲む人。
時間帯や気分によって、焙煎度の違いを楽しみたい人。
特にこだわりはなく、「黒くて苦ければいい」という人。

どれも、素敵なコーヒーの楽しみ方です。

どんなコーヒーを、どんなタイミングで選んでいるのか
少しだけ意識してみると、見えてくるものがあるかもしれません。

今の自分は、刺激を求めているのか。
それとも、落ち着きを必要としているのか。
あるいは、無意識のうちにバランスを取ろうとしているのか。

コーヒーの選択には、自分でも気づいていない五行の偏りや巡りが、そっと表れていることがあります。


本日のまとめ

コーヒーの好みは、今の自分を映す鏡

浅煎り・中煎り・深煎り。
そして、希少性に惹かれる金性の感覚。

コーヒーの好みは、固定された性格ではなく、そのときどきの心や体の状態、五行の巡りを映し出すこともあるのです。

以前は深煎りばかり飲んでいたのに、最近は浅煎りが気になる。
そんな変化も、五行が自然に動いている証。

次にコーヒーを選ぶとき、「なぜ、今これを飲みたいのか」
少しだけ感じてみてください。

そこには、今のあなたの五行のヒントが、きっと隠れています。